ルシファーと丑寅の金神と金星暗号

ルシファーとミカエル

氷室奈美さんの「タロットウォーズ」では天使長ミカエル(Michael)と悪魔長ルシファー(Lucifer)が双子の兄弟だったという設定になっていましたが、こういう説はけっこう古くからあったようです。ルシファーのイメージが確立していったのはローマ帝国の末期3〜4世紀と思われますが、ルシファーは堕天使であるとして、元々はミカエルと同等(あるいはそれ以上の)天使であったというイメージが膨らんでいきます。神が天使たちに人間への奉仕を要求した時にミカエルは従ったがルシファーは拒否して戦いになったといった伝説もその頃に生まれたものと思われます。

ルシファーと金星

ルシファーは聖書の詩篇にも記述があるように、元々は、明けの明星の精です。明けの明星(早朝に見える金星)は全天でいちばん明るい星ですので朝最後までその姿を見ることができる星で、夜=闇の世界・昼=神の世界というイメージから、神を象徴する太陽に対抗して最後まで輝いている星、として「神への抵抗者」というイメージが生まれたと言われています。

金星の精であるルシファーが天から落とされて地獄の主になったという伝説は、私は古代メソポタミア伝説の、金星の女神であるイナンナ(通称イシュタル−ローマ神話のヴィーナス相当)が冥界に降りていったという話のバリエーションのひとつではないかと考えています。

金星と丑寅の金神

丑寅の金神(うしとらのこんじん)というのは、平安時代末期頃から言われるようになってきた神様で、江戸時代頃には「その神がいる方角を侵すととんでもない禍がある」として怖れられていたものです。「金神」の名前はこの神が金星の精であると考えられたためです。ところが江戸時代末期頃から生まれてきた幾つかの新宗教が、この神を再解釈して「丑寅の金神は実は封印された国常立神(くにとこたちのかみ)である」という説が出てきて、この神に関するイメージは大転換を遂げます。つまり怖い神様だから避けるのではなく、尊い神様だから粗末に扱ってはならないということで結果としての行動は同じでも避ける動機は逆になります。

国常立神というのは日本書紀によれば現在の日本の神の勢力図が確立する以前にいた神で、日本の神秘学者の中には、国常立神が支配する時代が何万年か続いたあと、何度かの世代交代を経て、現在は天照大神(あまてらすおおみかみ)の時代になっているのだともいう人もいます。そういう意味ではまさに国常立神は封印された古い神ということもできるでしょう。

するとルシファーと丑寅の金神に微妙な共通性が見えてきます。元は天使の中で最も輝いていたのに地獄に封印されたルシファーと、元は世界の支配者であったが引退している国常立神=丑寅の金神というのは、ひょっとしたらアーリアの古いイメージの中にあった存在が東西に伝搬した結果なのかも知れません。

ルシファーと金星暗号

現代ではコンピュータやネットの世界で使われる暗号というとRSAか楕円暗号ですが、少し前まではDESという暗号が使われていました。この原理を開発したのはIBMの研究所にいたホルスト・ファイステルという人ですが、最初 daemon という暗号を開発したのを改良を重ねるうちに「出世して」 Lucifer と呼ばれるようになります。この名前には Lu-cipher という言葉遊びも含まれていました。cipher というのは「暗号」のことです。このルシファーが公開された時、日本の技術者は「悪魔暗号」ではさすがにふざけていると思われるかと考えたのか、「金星暗号」という訳語を考え出しました。なかなか名訳ではないかと思います。なおDESはLuciferを少し簡略化して非力なコンピュータでも容易に暗号の処理が出来るようにして標準暗号として公開したものです。



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