旧暦と節気

意外に便利な旧暦

私たちはすっかり新暦(グレゴリウス暦)の世界で生活していて、それを特に不便には感じてないのですが、実は旧暦(太陰太陽暦−正確には修正天保暦)の方が便利なこともあります。

それは旧暦が月(moon)の動きに合わせて月(month)を決めていることから来るもので、旧暦を使用していれば、たとえばお盆の中日は必ず満月なので、明るい月の下で盆踊りをすることができます。また月の満ち欠けは潮の満ち引きと連動しているので、毎月1日(朔)・15日(望)前後は潮の満ち引きが大きくなることが、日付を見ただけで分かります。旧暦は実は漁業にはとても便利な暦なのです。

やはり必要な太陽暦

一方、旧暦では明らかに不便なものがあります。それは農業です。旧暦は1年の長さが年によって極端に異なるため、たとえば同じ5月1日といっても、新緑の季節に来る年もあれば梅雨の最中に来る年もあって、こういう暦に頼って農作業などしていてはうまく行きません。そのため日本では農作業に関しては、昔から日常使用されている太陰太陽暦ではなく、純粋な太陽暦を使用してきたのです。この暦を節暦といいます。

節暦では毎年の太陽の実際の動きに合わせて月を定めますので、同じ日は毎年同じ時期に来ます。そこでそれを見ながら農作業をしていれば、うまくやっていくことができます。節暦の月初(旧暦の朔に相当)および月の中点(旧暦の望に相当)には固有の名前も付いており二十四節気と呼ばれています。

二十四節気の一覧

太陽黄経二十四節気2020年座宮月将
315度立春(1月節) 2.04  
330度雨水(1月中) 2.19亥月将
345度啓蟄(2月節) 3.05
0度春分(2月中) 3.20牡羊戌月将
15度清明(3月節) 4.04
30度穀雨(3月中) 4.19牡牛酉月将
45度立夏(4月節) 5.05
60度小満(4月中) 5.20双子申月将
75度芒種(5月節) 6.05
90度夏至(5月中) 6.21羊月将
105度小暑(6月節) 7.07
120度大暑(6月中) 7.22獅子午月将
135度立秋(7月節) 8.07  
150度処暑(7月中) 8.23乙女巳月将
165度白露(8月節) 9.07
180度秋分(8月中) 9.22天秤辰月将
195度寒露(9月節)10.08
210度霜降(9月中)10.23卯月将
225度立冬(10月節)11.07
240度小雪(10月中)11.22射手寅月将
255度大雪(11月節)12.07
270度冬至(11月中)12.22山羊丑月将
285度小寒(12月節) 1.06
300度大寒(12月中) 1.20水瓶子月将

二十四節気は更に太陽黄経の5度分ずつ3つに分割されて七十二候というものもありますが、ここでは割愛します。その付近はこよみのページをご覧下さい。

節月の始まりを節気といい、中間点を中気といいます。中国人や日本人はこの「節気」の方で月を区切りましたが、メソポタミアの民は「中気」の方で月を区切りました。これが西洋占星術の「魚座」「牡羊座」などと呼ばれている区分です。上記の月将と書かれているものは六壬などで使用するもので(細かいことを言わなければ)西洋占星術の星座と同じものです。

節月の重要性は季節を正確にトレースしているということで、旧暦の月の名前(1月・2月・・etc)も、実はその近くにある節月の名前に準拠して定めるようになっています。旧暦で1年に13月ある場合は、節月の方は12月しかないため、どうしても同じ名前の月が2つ発生します。これが閏月です。(大雑把な説明です。正確な話はこよみのページをご覧下さい)

東洋占ではたいてい節月を使用する

東洋占術のほとんどの占いでは、太陽が刻む季節の移り変わりを重視して、年や月を定めるときに「節月」で見ます。時々「節分より前に生まれた人は本当は前年生まれなんだよ」という話を聞くかと思いますが、それは東洋占にとって年の始まりは二十四節気の先頭である『立春』なので、グレゴリウス暦でたとえば1980年2月2日に生まれていても、節暦ではまだ1979年の12月なのです。

節月ではなく、太陰太陽暦を見るのは、月の動きを加味する一部の占術で、宿曜占術と紫微斗数がその代表です。

4種類の暦

結局私たちは4種類の暦を使っていることになります。しばしばどの暦の話をしているのかというのは、前提無しに話されることもよくありますので混乱しないように注意しましょう。

●新暦(グレゴリウス暦)
ビジネスなどで一般に最もよく使われている暦です。一般には「太陽暦」と思われていますが、正確な太陽暦ではなく、太陽暦に近くなるように、かつ計算が簡単にできるように作られた暦です。グレゴリウス13世が定めたのでグレゴリウス暦の名前があり、日本では明治6年1月1日以降、この暦を公式には使用しています。
●旧暦(太陰太陽暦)
天保15年(1844)に定められたものの明治維新のために明治6年(1873)年には太陽暦が正式の暦になってしまい、わずか29年で廃止されてしまった可哀相な暦になる筈だったのですが、いきなり太陽暦を押しつけられた庶民の反発により、部分的な修正を経て現在でも民間で継続使用されている暦です。いわば修正天保暦ということができます。
●中暦
元々旧暦でスケジュールされていた様々な祭りをその日付のまま新暦に移行させてしまうと、約1ヶ月早く来てしまい、甚だ不便だということで利用されているのがこの暦です。これは新暦を1ヶ月ずらしたもので、お盆などは本来7月15日の行事ですが、それでは早すぎるので中暦を採用して新暦の8月15日に行われますし、七夕も新暦の7月7日では梅雨の真っ最中で星祭りなどできないので中暦を採用して新暦の8月7日に行う地方が多くあります。ひな祭りも中暦で行う所があります。
●節暦(完全太陽暦)
太陽の実際の運動を正確に捕捉して組み立てられる暦で、農業に便利な暦です。八十八夜、二百十日なども、この暦の年初から数えた日取りを言ったものです。東洋占では基本的にこの暦を使用します。


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