03.物を垂直に投げた時の到達高度

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問題 地表から物体を垂直に投げた時の到達高度を求めよ

重力加速度による計算

地表近くで働く重力は一般に F = m g で求められる。ここで m=質量 g=重力加速度。

この重力加速度の実際の大きさについてては緯度ごとの重力のページを参照のこと。一般に高校物理では g=9.8 としている。

この方程式が成り立つ範囲では、計算は簡単である。

“位置エネルギー” E-mgh と、“運動エネルギー” E = 1/2 m v2 が等しくなるような速度 v を求めればよいだけである。

\( mgh = \frac{1}{2} m v^2 \)
\( ∴ h = \frac{v^2}{2g} \)
また v について解けば
\( v = \sqrt{2gh} \)
となる。
例えば、初速度が 150km/h = 41.67m/s であれば、 h = 88.57m ということになる。

東京ドームの天井の高さは56mなので、ここから v = 33.13 m/s = 119.2 km/h ということで、時速120km/hで垂直に打ち上げられたボールは天井に衝突することになる。この速度は飛距離計算によればホームランになる速度である。

しかし通常は、一流のスポーツ選手の打球でもせいぜい数十メートルしか上がらないことになる。単純にこの計算式で高度1万メールを飛んでいる飛行機にボールをぶつけるには、 \( v = \sqrt{2×9.8×10000} \) = 442.7 m/s = 1594 km/h の速度で打ち出す必要がある。たぶんこの速度でボールを叩いたらボールが破裂する!それ以前にボールに当てる前にバットが折れたりして!? 凄いソニックブーム発生するし。

つまりドラえもんの漫画のように“人工衛星”になる打球は全くあり得ないことが分かる。

万有引力の公式による計算

ロケットのようなものを考える場合には、地表付近のみで成立する重力加速度の計算式ではダメで、万有引力の公式で計算する必要がある。

地心から距離 r の物体には 万有引力により \( \frac{GM}{r^2} \) の下向き加速度が加わる。この式を積分することにより、万有引力による位置エネルギーは次の式で与えられることが分かる。

\( E = - \frac{GMm}{r} \)

すると地心からの距離 r0 の地点から r1 の地点まで運ぶ場合の位置エネルギーの変化は
\( - \frac{GMm}{r1} + \frac{GMm}{r0} \)
ということになり、これを初速度の運動エネルギー \( \frac{1}{2} m v^2 \) でまかなうには

\( - \frac{GMm}{r1} + \frac{GMm}{r0} = \frac{1}{2} m v^2 \)
\( GMm ( - \frac{1}{r1} + \frac{1}{r0} ) = \frac{1}{2} m v^2 \)
ということになるので、
\( - \frac{1}{r1} + \frac{1}{r0} = \frac{v^2}{2GM} \)
\( \frac{1}{r1} = \frac{1}{r0} - \frac{v^2}{2GM} \)

この式により \( \frac{1}{r1} \) を求めて、その逆数を取れば r1 が求まることになる。

ここで、G = 6.67430E-11 r0 = 6371000 M = 5.972E24 とした場合、
例えば v = 40 m/s (=144km/h) であれば、この式を計算すると r1-r0 = 81.47 m となる。
一方前節の計算式を使って求めると h = 81.63 m となる。

この差は基礎にしている数値のぶれや、地球自転の遠心力問題などによる差ではないかと思われる。

この計算式で高度1万メートルまで物体を初速度だけで運ぶのに必要な初速度は、上記の式を v について解いて
\( v = \sqrt{ 2GM ( \frac{1}{r0} - \frac{1}{r1} ) } \)
となるので、 r1 = r0 + 10000とすると v = 442.8 m/s (1594km/h) となり、前節の計算とだいたい一致する。

これが36000m (静止衛星の軌道)なら、v = 838.4 m/s (3018.5 km/h) となる。マッハ3くらいの速度が必要ということになる。普通のボールなら摩擦熱で到達前に燃え尽きますね。

(2021-08-16) ↑ (C)copyright ffortune.net 2021 produced by ffortune and Lumi.
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