←↑→ (08)預金させない銀行・貸さない銀行
最近銀行の企業への貸し渋り・貸し剥しが話題になっています。金融庁は盛んに
「貸し剥しをするな。もっと貸せ」と指導はしていますが、一方では自己資本
比率の改善を求めているので、この要求は無茶です。自行の財務体質を改善し
ないと国有化されたり破綻処理されてしまうので、背に腹は代えられない銀行
としては、どうしても、危ないかも知れないと思う所から融資を引き上げます。

一方で最近掲示板などでは、某都市銀行が、なかなか口座を作らせてくれない
というのが話題になっています。実は私も最近そこの銀行に普通口座を作った
のですが、職業は何だとか、どうしてうちに口座を作らなければならないのだ
とか、根ほり葉ほり聞かれ、更には同じことを何度も何度も聞かれて口座開設
までに1時間以上もかかりました。中には途中で諦めて帰ってきたという人も、
掲示板には報告がありました。

実はこの銀行の合併前の一方が裏世界では「架空口座天国」と噂されていたら
しく、大量の架空名義口座・仮名口座が作られていたことが合併時の相手行の
監査により判明し、そこで現在、口座開設時の確認が異様なまでに厳しくなっ
ているとのことです。

ただそれ以上に銀行自体が以前ほど、口座開設に積極的ではなくなってきてい
ることもあるようです。

元々銀行というのは、余裕のある人から預金によって資金を集め、それを事業
をしたいけど元手の足りない人に貸し付けて、その利ざやで稼いできたもので
す。ところが最近、不況の影響で融資はリスクが高くなっている上に資金調達
も預金から金融市場にシフトしており、預金を苦労して集めなくても、充分な
資金が得られるようになってきました。そのため、海の物とも山の物ともつか
ない企業には融資などしてくれませんし、入金されてもせいぜい数十万円程度
の普通口座には興味を失いつつあるという背景があるようです。

そもそも現在の預金利息は異様なほどに低い状態(普通預金が0.001%、1年
定期が0.03%)にあり、消費者側も預金には必ずしも積極的になれない状況も
あります。

それではお金を預かってくれない、そしてお金を貸してもくれない、という
銀行はどこに行くのでしょうか?

そのひとつが現在ネット銀行が目指している「決済の手数料収入による運営」
です。数年前にマイクロソフトが世界的なネット決済のシステムを立ち上げる
という噂があった時、手数料は1件5円でいいと言っているといわれました。
確かに1件5円でも世界的な取引を掌握すれば毎日とんでもない金額の手数料が
懐に入ることになります。Windows自体にその決済機能を組み込んでおけば
利用者は億の単位で世界的に確保できます。これは本当においしい市場です。

現在、日本でもアイワイ銀行・ソニー銀行・ジャパンネット銀行・イーバンク
といったネット専業銀行が誕生し、無店舗でネット取引とコンビニや郵便局の
ATMを利用して運営されていますが、その収入の柱は、現在成熟期に入りつつ
あるネットによる通販の決済機能です。

アイワイ銀行は企業の給与振り込みを多数取ろうと努力しています。9時から
18時までしか手数料無しでは使えない銀行のATMは毎日9時から17時半まで働い
ている給与労働者にはひじょうに使いづらい存在であり、24時間利用可能な
コンビニのATMで自分の給料が引き出せるのは魅力的です。

ジャパンネット銀行は通常の銀行と同様に使えるようなサービスが魅力的で
この銀行のキャッシュカードはデビットカードとして使えるので普段の買物を
するのにわざわざATMで現金を降ろしていく必要がありません。プロバイダの
支払いなどにも使えるようになっており、クレジットカードと同様にオンライン
サインアップなどでも使用できるようになってきています。

イーバンクはキャッシュカードも発行しないという不思議な戦略で展開して
いますが、その代わり楽天などのショッピングサイトとの連携を深めていって
おり、決済ナンバーワン銀行を目指しているようです。

ソニー銀行は資産運用をしたい人をかなり意識しており、海外での利用の便を
高める努力などもしています。

このようなネット専業銀行の動きに刺激されて、既存の銀行の中でも新生銀行、
スルガ銀行、東京スター銀行、みずほ銀行などはネットでの営業に力を入れて
います。特に東京スター銀行やスルガ銀行などのような地方の銀行にとって、
ネット市場というのは、全国から顧客を獲得できる魅力的な場所です。実際問題
として、ネット上で全ての取引ができるのであれば、別に近くにその銀行の支店
がある必要はありません。北陸とか九州とかにしか拠点がない銀行でも全国的に
そこの銀行の口座を持つ人が出てきたら、その銀行は実質的に都市銀行なみの
力を持つことができます。ここは積極的な銀行にとっては、フロンティアです。

逆にこのような時代になると地場密着型の経営は(中小企業や個人商店に積極的
に融資をするということをしないのであれば)厳しくなっていくでしょう。この
競争に敗れた銀行は消えていく可能性もあります。


(2004-01-10)

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