←↑→ (12)鍵は家を手放したくないかどうか
さて任意整理や特定調停が困難である場合は、民事再生か自己破産を選択する
ことになります。この民事再生は最近できた制度で自己破産とは次のような
違いがあります。

 (1)住宅ローンを除いて整理可能なので自宅を手放さずに他の借金だけチャラに
   することが可能である。自己破産は全ての債務を処理する義務がある。
 (2)破産者がつけない職業に就いていて、その仕事をやめたくない場合は
   民事再生しか選択肢はない。
 (3)民事再生では債務をゼロにするのではなく債務の2割以上(最低100万円)
   は3年以内に返さなければならない。
 (4)給与所得者以外の場合、債権者の過半数が返済計画に同意しないと不成立。
 (5)債務総額3000万円まで。(5000万円までに引き上げ予定)
 (6)自己破産すると保証人の設定されている債権は保証人に請求されるので、
   保証人にどうしても迷惑をかけたくない時は民事再生で頑張るしかない。
 (7)民事再生は一般に時間がかかり、弁護士無しでは困難。弁護士費用も高い。
    自己破産は早ければ半年で完了。弁護士費用も安く、弁護士無しでも可能。

破産者がつけない職業というのは下記のようなものがあります。
  弁護士・司法書士・公証人・公認会計士・税理士
  不動産鑑定士・土地家屋調査士・宅地建物取引業者・質屋
  警備員・国家公安委員会委員・保険外交員・株式会社の役員

要するに他人の財産を扱うような仕事はできないということでしょう。上記の
中で特に問題になりそうなのは、警備員・保険外交員・会社役員あたりでしょ
うか。ただし、これらも破産処理が完了したあと「免責」になれば、また就く
ことができますので、欠格状態になるのは、ほんの数ヶ月です。会社の役員を
破産を理由にいったん辞職し、免責してからまた復帰する人も世の中には多い
ようです。警備員や保険外交員の場合は仕事探しをしましょう。

なお、破産して免責にならないのは破産リピーターやギャンブル狂の場合か、
免責の申請を期日までにし忘れたような場合以外は、まずありません。免責が
本来なら難しいケースでも、弁護士を通せばその弁護士の裁判官との交渉力に
より一部免責が取れることが多いです。個人申し立てでは無理ですが。

そういうわけで、民事再生にするか破産処理するかの最大の違いは「家を手放し
たくないかどうか」ということになるでしょう。もっとも住宅ローンが何十年も
残っているような場合は無謀なので、家は諦めたほうが良いです。再起してから
頑張ってお金を貯めて今度は即金で買えば済むこと。今まで毎年200万円返済し
ていたのなら10年貯金したら2000万円。田舎の中古住宅が買えます。(どうせ
ブラックリストから消えるのにも10年かかる)しかしあと2〜3年でローンが
終了したのにという人は確かに手放すのは惜しいものがあり、民事再生を選択
するのも良いでしょう。

ただ借金の整理をしようとする人は一般にギリギリの生活をしています。貯金
などあるならとっくにそれを返済に回していますから、貯金もなく高額の弁護士
費用を支払えない場合が大半です。そのため、気持ち的には民事再生にして少し
でも借金を返したいけど、そうするための費用がないから自己破産を選択する、
という人も多くあります。

少しでも返そうとすると法的な費用が高額になるというのも、何とも不条理なの
ですが、仕方ありません。同様の不条理としては、任意整理になるか再生・破産
にするかの境目にもあります。前回述べたように任意整理では利息の引き直しが
前提になりますので、もともと利息の高い所ばかりから借りている無計画な人は
任意整理が比較的簡単ですが、利息の低い所を選んで上手に借りている人は利息
を引き直ししてもかえって高くなってしまうことも多く、任意整理は困難です。

つまり長期間の借金生活を、利息の低い所低い所と借り換えて、頑張って返して
いたため本当に余裕のない人は、任意整理も民事再生も不可能で、自己破産する
しかないわけです。しかし文句を言っても仕方ないので、ここまできたら、もう
開き直るしかありません。


(2004-01-12)

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