←↑→ (15)オナシスのコート
ケネディ元大統領夫人のジャクリーヌの再婚相手としても名高い海運王・
アリストテレス・ソクラテス・オナシス(1900-1975,しかし凄い名前だ)は、
大富豪であるにもかかわらず節約家として知られていました。

彼は第一次世界大戦のあと荒れている祖国トルコを難民同様に出てアルゼンチ
ンにわたり、皿洗いなどをして少しずつお金を貯め、そこからタバコの販売で
大きな収入を得て、それを元手に始めた海運業が当たって財をなし、そこで
アラブの石油販売会社との契約が取れたことからタンカー事業で巨万の富を
得ました。

そういう経歴の人だけに節約というよりケチの領域に入っているとよく言われ
るのですが、それを象徴するエピソードがコートの話です。

オナシスはどんな寒い日でもコートを着ずに外出していました。なぜか?

それはコートを着てどこかに出かけると、行った先の玄関でコートを脱ぎます。
その脱いだコートはボーイに渡します。するとそのボーイにチップを渡さなけ
ればなりません。それがもったいない。だからオナシスはコートを着ないのです。

日本のようにチップ無用の国に住んでいたらオナシスはコートを着ていたかも
知れません。

先日、経団連の奥田碩会長が「家計のリストラを」と訴えていました。それは
ある意味では正解です。企業だけでなく家計もいったん無駄な出費を切り捨て
て健全化しなければ、新たな有効な投資にお金が向かないので、無駄が膨れあ
がった状態で給料だけ増やしても、内需はそれほど拡大しないでしょう。

今の時代、家庭も企業も無駄な投資を省いて、体力を付けることこそ景気回復
への道筋なのかも知れません。昭和40年代の高度経済成長を支えたのも当時で
いう「合理化」でした。

家庭の場合は食費では冷凍食品とお総菜を原則として買わなければそれだけで
かなり節約をすることができます。ミックスベジのような端切れ素材を再利用
した徳用型のものを除けば、多くの冷凍食品はいわば「借金型」の素材。自分
で小分けして冷凍する「積立型」の素材に切り替えた方が安上がりです。食費
の節約を成功させている人はだいたい2パターンに分かれます。

(1)まとめ買い派 一週間の献立を素材が無駄にならないよう計画してまとめて
         買物に行く。予定外の物はどんなに安くなっていても買わない。

(2)毎日定額派  毎日使用する予算を例えば1500円以内と決めておき、その分
         の現金だけを持って買物に行く。お釣りは貯金箱に入れる。

いづれも予算外のものは買わない(買えない)というのがコツで、これをしよう
とすると、結果的にお総菜や冷凍食品・レトルト食品・インスタント食品などを
買う余裕は、実際問題として、まずありません。

食費以外では、近い距離の移動に自家用車や交通機関を使うのをやめて徒歩や
自転車にすると健康にもいいです。また惰性や義理で払っているような会費の
類は解約するとかなり余裕ができたりします。携帯のサービスで毎月100円とか
200円払っているものでも半年に一度くらいはリストを確認して、ここ数ヶ月
使用していない物は解約すると良いでしょう。ソフトウェアなども毎年新バー
ジョンが出ますが毎回上げる必要はまずありません。2〜3年に一度で大抵充分
です。必ず上げなければならないのはウィルス対策ソフトくらいでしょう。

クレジット会社やお店などの「ポイント」も基本的に気にしないようにした方が
無難です。「あと少しでポイントが○○点になる」などと思うと、つい不要な
物を買ってしまいがちです。

また今は100円ショップが各地に出来ています。100円ショップのものでも行ける
ものは使うようにすると、かなり節約が可能になります。ただ100円ショップも
「どうせ100円だから」と思うと余計なものを買いすぎます。本当に必要なもの
だけに限定して買うようにしましょう。

企業も人員のリストラはかなり進んだようですが、経営者の頭の中のリストラ
がまだまだ不十分です。やはり1950年代頃以降の消費拡大社会の中で使って
きた経営哲学がもう通用しなくなっていることを認識すべきでしょう。数年前か
ら事実上破綻状態にある某スーパーの創業者は「借りられるお金は自分のお金」
などと豪語していました。こういう考えは超インフレ時代にだけ有効でした。

現在公表しているバランスシートではそれほどひどくない企業でも実態はかな
り厳しい状況になっている場合もあります。また企業経営を圧迫するのは明確
な形の借入金だけではありません。支払手形を使用する危険性は既に指摘した
通りですが、ほかにリースなどもあります。リースは形式的には「物を借りて
いるだけ」でもレンタルとは明確に違います。事実上の分割払いであり、これ
は隠れ借金以外のなにものでもありません。

企業でも個人と同じ。生産に必要な設備は(隠れ借金を含む)借入金ではなく
内部留保していた資金を利用して買うべきでしょう。コンピュータや製造設備
などは数年に一度リニューアルしなければならないことは分かり切っています
から、その分をちゃんと積み立てる資金運営をしていれば、その企業は強い
財務体質になります。

今回のBSE騒動で経営不安説が一時的に出た吉野家などは、1970年代に一度倒産
した苦い経験から、無借金経営を基本としており「何も営業しなくても2年間は
給料を払える」というくらいのお金を所有しているそうです。

これこそがこれからの経営の姿でしょう。


(2004-01-18)

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