世界の女神たち(10)天照大神

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written by Lumiere on 97/01/13 01:00
(編注.この項には不勉強により色々な間違いがありますが、訂正していると全て 書き直すことになってしまいますので4年前の不勉強な時代の遺物ということ でそのまま出しておきます 2001.1.14)

さて、このシリーズの最後には、やはり日本の大女神・天照大神(あまてらす おおみかみ)をとりあげたいと思います。

日本の女神といえば、「女神転生」でおなじみ富士山の神様・木花咲夜姫(こ のはなさくやひめ)がいますし、日本のモイライのような宗像(むなかた)の 三女神もあり、日本の創造神・伊弉冉神(いざなみのかみ)もいます。が、そ の神を祭る伊勢神宮とともに日本の神様の頂点に立つのが、この天照大神でし ょう。

天照大神に関する神話は次のようなものです。

・誕生 伊弉諾神(いざなぎのかみ)が亡き妻伊弉冉神(いざなみのかみ)を訪ねて 黄泉国(よみのくに:死者の国)に行ったあと、日向の阿波岐原で禊(みそ ぎ)をして身を清めた時、伊弉諾神の左目から天照大神、右目から月読神( つきよみのかみ)、鼻から素戔嗚神(すさのおのかみ)が生まれました。こ れを伊弉諾神は大変喜び、天照には高天原(たかまがはら)を、月読には夜 の国を、素戔嗚には海を治めるように命じるのです。この三神を三貴子とい います。

これは古事記による誕生神話ですが、日本書紀の本文では天照大神と素戔嗚 神は伊弉諾・伊弉冉の神が国産みを終えたところで一緒に産んだ子になって います。その説では最初天照が生まれたので天に送り、次に蛭子(ひるこ) が生まれたのでこれは葦の船に乗せて流し、最後に素戔嗚が生まれたのでこ れを根の国にやった。

また日本書紀の一書にはこのような説もあります。伊弉冉神が「天下を治め るような優れた子が欲しい」といって左手に白銅鏡を取ったら天照が生まれ、 右手に白銅鏡を取ったら月読が生まれ、振り向いたら素戔嗚が生まれた。

・天安河の誓約(うけい) 素戔嗚神(すさのおのかみ)は根の国に行こうとしてその前に姉に挨拶しよ うと思い、高天原へおもむいた。その様子が荒々しかったため、驚いた天照 は武装して弟に対峙し、「何事か?」と問うた。素戔嗚はただ挨拶に寄った だけだと答え、その証拠に誓約(うけい:神祇裁判)をしようといいます。
 そこで天照がまず素戔嗚の剣を砕いて噛み吹き出すと宗像の三女神が生まれ ます。これに対して素戔嗚が天照の勾玉を砕いて噛み吹き出すと天忍穂耳命・ 天菩卑能命・天津日子根命・活津日子根命・熊野久須毘命が生まれます。素 戔嗚の子供が女の子であったことからこの誓約は素戔嗚の勝ちとなり、これ で素戔嗚はしばらく高天原に滞在することになります。

というのが古事記の伝承で、日本書紀の本文も同様ですが、日本書紀の一書 には、「男が生まれた方が勝ち」として、天忍穂耳命や天津日子根命を素戔 嗚の子供とし、宗像の三女神を天照の子供とする説もあります。しかしそれ では天忍穂耳命の子供の迩々芸命(ににぎのみこと)が天孫として地上へ降 りる話につながりませんので、やはり「女が生まれた方が勝ち:武き心の無 い証拠」という説を取りたいように思います。

・天岩戸 さて高天原に滞在した素戔嗚神ですが、もともと荒々しい神なのでやること なすこと乱暴でした。田のあぜ道を壊して田に水を引く溝を埋めてみたり、 神殿に糞をしたりしてひんしゅくを買いますが、天照は弟をかばって他の神 様たちに言い訳をしてあげます。しかしそのうち調子に乗った素戔嗚は天照 が機織女(はたおりむすめ)に神衣を織らせているところに馬の皮をはいだ ものを投げ込み、驚いた機織女が死んでしまうということが起きました。そ れを見た天照はぷいと天岩戸に隠れてしまいます。

さて、太陽の神様である天照に隠れられてはたまりません。世の中真っ暗に なってしまいました。困った神様たちは相談の上で、天岩戸の前に天香具山 (あまのかぐやま)の賢木(さかき)を植え、上の枝に八尺勾玉(やさかの まがたま)を掛け、中の枝に八尺鏡(やあたのかがみ)を掛け、下の枝に白 和幣・青和幣を掛けて、天児屋命が祝詞(のりと)を奏上し、天手力男(あ めのたじからお)が岩戸のそばに隠れて、前で天宇受売神(あめのうずめの かみ)が神懸かりして激しく踊ります。すると宇受売の乳ははだけ、陰部も 見えてしまったので居並ぶ神が大笑いします。

すると不審に思った天照は戸を少し開けて「私がここに居てみんな困ってい るかと思ったら宇受売は踊っているし、神々は笑っている。どうしたのです か」と尋ねます。すると宇受売は「あなた様より貴い神様がいらしたので、 みんなで笑って踊っているのです」と言い天児屋命と布刀玉命が鏡を差し出 します。するとそこに天照本人が映ったのですが細い隙間ではよく分からな いので、もう少し開いて戸の外に出て、その鏡をのぞき込みます。そこをす かさず手力男がぐいと天照の腕を引き岩戸から引き離し、布刀玉命が後ろに しめ縄を渡して「もうこの中に入ってはいけません」と言い渡しました。こ れで世界はまた明るくなったのです。今回の騒動の原因となった素戔嗚神は 高天原を追放になります。

・その後の神話における天照 この後の古事記の展開における天照は指示者としての立場が中心となり、特 に大きなエピソードはありません。その後の古事記は高天原を追放になった 素戔嗚が出雲国へ行って八俣大蛇(やまたのおろち)を退治し、櫛稲田姫を 妻として定住。その子孫の大国主神(おおくにぬしのかみ)が日本の国土を 開発して回ってから、今度は天忍穂耳命の子供(つまり天照の孫)の迩々芸 命がその地上の王として降りていく(天孫降臨)ということになります。こ の時、天照は迩々芸命に三つの神宝を授けました。天岩戸神話の所で出てき た勾玉・鏡と、素戔嗚神が八俣大蛇を退治した時その尾から出てきた神剣・ 天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)です。これが現在天皇家に伝わる三種 の神器で、勾玉は宮中に、鏡は伊勢神宮に、剣は熱田神宮にあります。江戸 時代までは勾玉は京都にあった訳で、この三種の神器の所在場所を線でつな ぐと、鏡(天照を写したもので天照の象徴:陰)と剣(素戔嗚が得たもの: 陽)を底辺とする二等辺三角形が出来ていました(*^_^*)

話がまだ長くなりそうなので、いったん稿を改めましょう。


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