世界の女神たち(10)天照大神-cont3

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written by Lumiere on 97/01/13 09:24
さて、前稿・前々稿では天照大神の本拠地・伊勢神宮について見てきたのです が、「あまてらす」という名前の神様は実は天照大神のみではなく、他の系統 の天照神の神社というのも存在します。

その中で最も大きな勢力を持つのは天照国照彦火明命を御祭神とする神社です。
この火明命は尾張氏の氏神で、古事記や日本書紀本文では、迩々芸命(ににぎ のみこと)と木花咲夜姫(このはなさくやひめ)との間の子供で神武天皇の祖 父である火遠理命の兄、日本書紀の一書では天忍穂命の子供で迩々芸命の兄と いうことになっています。

この火明命もその名の通り太陽神であったようで、この神を御祭神とする神社 にはつぎのようなものがあります。

・木島坐天照御魂神社  京都太秦 ・水主坐天照御魂神社  城陽市寺田 ・他田坐天照御魂神社  桜井市太田 (現在春日神社) ・鏡作坐天照御魂神社  奈良県田原本町 ・新屋坐天照御魂神社  茨木市福井 ・粒 坐天照神社    竜野市 ・天照大神高座神社   八尾市教興寺境内 ・天照玉命神社     福知山市

これらの多くは尾張氏やその本家の秦氏に関連した神社のようです。そして、 非常に興味深いことに、伊勢神宮に深く関わる天武天皇はこの尾張氏に養育さ れていたと言われているのです。そうすると、この火明命を御祭神とする天照 系神社というのは、今日の伊勢の源流の一つなのかも知れません。

この火明命を祭る神社のほかに「天照」の名前を冠する神社として有名なもの には下記のものがあります。

・伊勢天照御祖神社   福岡県久留米市  御祭神:天照御祖神 ・阿麻氏留神社     対馬の美津島町  御祭神:照日権現

これはいづれもその土地の太陽神信仰から生まれたもののようです。また天照 の名を冠するもう一人重要な神としては、天照国照彦火明櫛玉饒速日命がいま す。これは迩々芸命以前に日本の国に降臨した天孫で、神武天皇が近畿に東征 して来た時対立した神です。この神が降臨した場所が大阪府の磐船神社です。
この神も太陽神であるという説が聞かれます。

このような事情を見ると、もともと「天照」というのは太陽神に対する一般的 な呼称であったのかも知れません。(各地のその土地の神を大国主神と呼んだ のと同様)それらの信仰の上に伊勢の天照大神の信仰が成立したという可能性 はあります。その時、これを支えた信仰はひとつは太陽の恵みを感謝する農耕 民族、ひとつは太陽の神秘を肌で感じていた海人族、そして尾張氏の火明命の 信仰と天皇家の大日霎貴神(おおひるめのかみ)の信仰だったかも知れません。


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